このホームページのgalleryでも紹介していますが、私は今、CRPという企画の主催するワークショップに通い、Kindle写真集の準備を進めています(今日のblogの写真も、それに使う予定の1枚を全容が見えないように加工したものだったりします)。
この企画、参加にあたり全くためらいがなかった訳ではありません。本というひとつの閉じた世界と電子書籍は全く違う媒体だと私は捉えており、かつ今まで紙の写真集に慣れ親しんでいたからです。
全く未知の世界。
実際に手をつけてみると、そういった意味での違いはそれほど感じませんでした。現在のところハイパーリンク機能などが組み込まれていたりもしないし、文字データもイメージデータの形式に変換されているので、検索ボックスに映像をコピペして入れると関連映像が出てくる、という機能が検索エンジンに搭載されない限り、それは実質的に閉じられた「本」と変わりません(余談ですが、こんな機能が搭載された暁には、私も参加する「カンブリアンゲーム」は未来を先取りしていたことになります 笑)。
また、紙の書籍は物理的な大きさをはじめ、デザインにおいて作り手が決定できる要素が多いので、電子書籍より作品コンセプトの伝わり方をコントロールしやすいと感じていたのですが、純粋に画像から伝わるものについて考えた場合は、むしろ印刷による色の沈み etc.を気にしなくていい分、より直接的に見せたいものが見せられたのかも…
それに、今振り返ると、あのワークショップで学んだことの多くは紙の写真集を作るうえでも役立ちそうな気がします。
写真同士をつないで順序を決めていくときどういった点に類似なり関連なりを見出してつないでいくのかで写真集の雰囲気は本当に変わる。私が尊敬する奈良原一高は、"En-Circular Vision" においては視線(見る、見られる etc.)を切り口にimagesをつないでいるようでした。私自身は過去に写真集を編んだとき、形態の類似を基本にしたうえで視線についても意識しつつimagesを置きました。
今回のワークショップでは… 基本的にはおそらく色彩のつながりを重視していたと思われますが、主催者の横木さんは、そこに意表を突くような取り合わせを混ぜ込むことをためらいません(混ぜ込み加減は個人の音楽的感性? とでも呼ぶべきものに委ねられているのでしょうが)。そして、それが不思議にもきちんとまとまっているのです。
そんな体験を経て先日某ギャラリーで写真集をめくっていると、ふと自分が写真のつながりのシンタックスとでも呼ぶべきものに敏感になっていることに気づき、少し嬉しくなりました。