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Miho Yamazaki

写真家の熊谷聖司氏に遭遇したりもした


そもそもは、前々から気になっていた写真コンペ「写真新世紀」でグランプリを獲りデビューした写真家さんだということで気になっていた熊谷聖司さんですが、トークショーでお話を聞いたり作品を見せて頂いたりするうちに、その遊び心溢れる写真集の構成や写真に対する造詣の深さ、そして不思議にまったり×飄々とした雰囲気にずるずるとはまってゆき、この日も四谷三丁目のRoonee 247 Photographyで行われていた熊谷聖司×富山義則(敬称略)の2人展を訪れることに。

展示されていたのは当然オリジナルプリントだったのですが、私としては、展示作品を含む作品からなる写真集を拝見するのも同じくらい楽しみでした。中に使われている紙が熊谷さんの写真と富山さんの写真で異なる、とか、ポラロイド社が倒産したときに譲り受けた、今となっては使用期限を過ぎて久しい8×10のポラロイドフィルムを使って撮った写真をほぼ実寸で掲載している、とかそんな話を聞いた時点で蒐集家魂(←普段は割と希薄)がONになってしまったのです。

とはいえ、やはりオリジナルプリントには写真集にはない良さがありました。上の写真に写っているのが件の写真集なのですが、この右側の写真などは特に、オリジナルプリントの方が色合いが繊細だったように思います。この次のページの写真—シャッターと自転車が写っていて、その上に黄橙の光の点が散っている—のように特徴的なものなら写真集でも変わらず楽しめるのですが…

ただ、もし画質が若干落ちたとしても、写真集は小宇宙な感じを堪能できるのがたまらない。そのうえ写っているのは(当たり前ですが)すべて過去の物事なので、タイムカプセル的なわくわく感もあったりします。

ところで、

先日、4Kのヴィデオカメラで撮った映像を4K映像用のモニターで見る機会がありました。8Kくらいまで行くと、3D用の眼鏡を使わなくてもそのままで立体的に見えてしまうそうですが、4Kでもかなり浮き上がって見えました。

熊谷さんは以前、写真はどうであれ平面だ、とおっしゃっていました。しかしこのままデジカメ画像の精細度が増すと写真ならではのそうした特徴/特長は失われるでしょう。

私自身は写真を、単に現実をコピーするものとは見なしていません。高精細デジタル画像の存在自体はそれなりに素晴らしいと思いますが、それを現実世界スキャナとして使うことには特に面白さを感じません。どうせなら高精細画像こそが引き起こせるような目の錯覚(それが何なのかはまだ分かりませんが)を利用して何かする方がいい。

今回使われていた期限切れのポラロイドフィルムは「リアルな/の描写」という観点に照らせばとんでもない代物だったと思います。でも、だからこそ現実世界の3次元の頸木から自由な、そしてそれゆえどこか夢のような、色面構成的平面worldが展開され得たのではないでしょうか(ちなみに、「現像する」の意のフランス語はdévelopperで、基本的には「展開する」という意味)。

最後に、

The お宝。

Roonee 247さんで売っていた写真集は(おそらくすべて)直筆サイン入りで、熊谷さんの在廊時に購入すると、場合によってはイラストを入れて頂けたりもす… るのですが、展示は6月12日16:00まで=終了間近です。皆様、いざ、hurry up!

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